北大での仕事 一覧

昔取った杵柄

なんともありがたいことに,このたび北海道地理学会から優秀論文賞をいただきました.

対象となった論文はこれまでに南極・グリンランド・パタゴニア・ネパール・日本の高山でやってきた研究の手法面での基礎になっているもので,指導した院生や共同研究のPDの方々にも活用いただいて,この手法の可能性を広げていただきました.

勤務校の同僚の先生から「文系人間の私にもわかりやく解説してください」とリクエストがあったので,それへの回答もかねて書きます.この論文は,人体がそもそも備えている「両目の3次元空間認知能力」と,近年発達が著しい「デジタル3D映像技術」を組み合わせれば,定量的かつ精密に地球表面の変化を解析できる可能性がひろがるだろう,ということを,実例を示しながら解説・展望したものです.

実は論文自体はだいぶ前に出版されたものなのですが,その後,この論文で示した多時期のステレオ画像から標高値の変化量を求める手法は,国際誌を含む十数本の共著論文の主要な解析手法として用いられましたので,それらへの貢献も含めて総合的に評価いただいたものと思っています.

最近「基礎研究」が算数のドリル計算で,「応用研究」のことを高級な読解問題,というレベルでとらえている人たちが多いらしいという危惧が広まっていますけれど,出版から随分時間がたってからこうして評価していただけるのは,その後の広がりも含めたまさに「基礎研究」にあたるものとしてのことだろうと思っていますし,自分で直接手を出すのを我慢しながら院生やPDの皆さんにいろいろやっていただいてこその評価だろうと,優秀な学生さんたちに恵まれたことをありがたく思っています.

現在はフィールド調査の最前線からは遠ざかっていますが,そのうちきっと復活します.
ご協力いただいた皆さんに心より感謝申し上げます.


手稲実習

4月28〜29日 北大環境科学院・南極学カリキュラムの実習に参加してきました.大学院生に混じって,学部2-3年の私のゼミ生7名もがんばっていました.

降りしきる季節外れの雪の中で

降りしきる季節外れの雪の中で

低温研のアルバムにもっと写真があります.


30年目の卒業

北大の卒業式・修了式・学位授与式が行われた今日,ようやく研究室の物品の搬出を完了しました.私にとっても30年目にしてようやく北大を卒業する日です.人生の三分の二を過ごしたエルムの学舎は,もうすっかり第二の故郷となってしまいました.これからもずっと縁を保ち続けていきたいと思っています.



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写真コンテスト落選作品

はずかしながら環境科学院写真コンテスト2014に応募していた写真をここで公開します.地理学の現場のおもしろさをアピールすることを狙ったものだったんですけど...残念ながらどれも落選してしまいました.一部趣味も混じってます...コンテスト自体は学院紹介パンフなどに利用する写真を発掘することが主目的なので,去りゆく私の写真はもう不用ですね.


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【開け!地図の扉】(スイス実習・グリデルワルトにて:登山道を歩き始める前に現在地の確認.屏風のように一斉に広がった地図が印象的でした.スイスの地図は芸術品なみのクオリティです)


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【同水準を見極める】(スイス実習・フルカ峠付近にて:ハンドレベルを覗いて峠の向こうの同じ高さの地形を探しています.奥にグリムゼル峠からのつづら折れ道路が見えます)




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【ハイジのように乗れるかな?】(スイス実習・フルカ峠付近にて:ハイジのアニメに出てきそうな入道雲は,氷河と峠のおりなすローカルな気象条件の産物です)




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【沈みゆく氷河のパッチワーク】(スイス実習・ローヌ氷河のモレーンにて:後退が顕著なローヌ氷河は,表面高度も低下しています.それを食い止めるために人工的に敷き詰められたシートの白,そしてかつて氷河が覆っていた岩盤に侵出しているライケンの緑,そのパッチワークの景観から,解氷後の地形発達を読み取っていきます)




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【ドローン】(旭岳裾合平付近にて:最近はやりのUAVを飛ばして登山道の浸食状況を把握します)


最近の仕事(さくらサイエンスプラン)

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10月6〜26日の3週間,優秀なアジアの青少年が日本を短期訪問してアジアと日本の青少年が科学技術の分野で交流を深めることを目指す「日本・アジア青少年サイエンス交流事業」(「さくらサイエンスプラン」)の招聘で,中国・蘭州大学の11名の皆さんが北大・環境科学院に滞在.環境起学専攻・人間生態システムコースの渡辺悌二教授を中心となってホスト役を務めます.大雪山国立公園・札幌円山・洞爺湖有珠山ジオパークへの訪問をはじめとして,UAVやLPSを使った最新の地形解析技術の習得,国立公園管理やジオパークについてのディスカッションなど,様々なプログラムを通じて交流を深めます.

記録は【こちら


魚附林の地球環境学

image新学期早々の教員会議.慌ただしい出発だけれど,走りながら考えていくしかない.

そんな感じで,これからこの組織で一緒にやっていくことになる白岩さんから,できたてほやほやの御著書『魚附林の地球環境学 -親潮・オホーツク海を育むアムール川-』をいただいた.これまで外野で眺めてきた氏の活動の総集成がここにあるのか,と思うと,矢も楯もたまらず一気に読んだ.

内容については外野ながら何度も聞いてきた話であるだけに,おさらい・復習のつもりで読むことができた.言葉を選んだ平易さと,各所にちりばめられた気遣いと,それでも媚びることなく誠実に記述されている文体には,なんとも著者らしさが感じられて,付き合いの長い私なんかはほほえましくさえ思ってしまう(後輩なのにこう書くと不躾だけど).

丁度この本で語られるプロジェクトにつながる水面下の動きが始まっていた2000年に,名古屋大学のお世話で有志の集まりである「比較氷河研究会」が開催された.その最後にあった総合討論や懇親会の酒の席で,研究会の「まとめ」らしきことがいろいろ語られたのだけれど,その中に「今後10年に我々はなにをなすべきか」というのがあったのを今でも良く覚えている.思えば,その言葉の震源地こそが,当時スイスに滞在中だった著者であった.そしてご本人は,まさにその後の10年で,インキュベーションから本番に至るまでの一連のプロジェクトをリードし,本にまとめることができるほどの一筋のストーリーを築いてこられたわけである.本著にもあるとおり,このストーリーの出発点は氷河研究にあったわけだが,あの時の「比較氷河研究会」を契機に交わされた議論は,その意味で,著者をして氷河学の母体からの旅立ちを後押ししたのではないだろうか,と思えて仕方がない.本著には,一緒に仕事をはじめることになった成田教授と「もしかしたら主役から転落してしまうかもしれない」とたじろいだことが暴露されている.しかし,その危惧を乗り越えて,その先に潜むより大きな課題に突き進んでいった先見性と忍耐力には,ただただ感服するしかない.

ストーリーとして語ることができる10年をお持ちであること,その中で構築してきた人のつながりや自然との対話の経験を獲得されたことは,数々の研究成果以上に,とてもうらやましく感じる.さらに,このストーリーはこれで完結するようなものではない.著者がめざすアムール・オホーツクコンソーシアムが,これからどれだけ効果を発揮するかにかかっているだろう.しかし,そこでもきっと,著者ならではのストーリーが展開され,またいつの日か,それが著者の語り口で語られる日が来るに違いない.

というわけで,これから私も,取り巻きよりはちょっと近い関係で著者と一緒に大学院教育を担当していくことになる.自分のストーリーを語ることができるようになれるとは思っていないけれど,お手本とすべき人が近くにいるだけでも刺激になるだろう.今後ともどうぞよろしくご指導ご鞭撻いただけるようお願い申し上げる次第.


パーティに感謝

送り出しの会を素直にもよすことができるというのは,残る者にとってどれだけ重要か実感させられた日.ということで,今日の会を企画してくれた皆さんに感謝.

今日のつぶやき.

  • 22:08  修了生のいない今年。でもネパール料理でパーティー。H教授の実質的追いコン。 http://twitpic.com/45zjq1
  • 22:15  え〜っ!沿岸部ではスーパーインポーズドアイスはあったけど,氷床全部がそうだってことになると,アイスコア深部の解析の根拠がなくなっちゃうじゃない.はやいとこちゃんと読まなきゃ:南極の氷河は積雪ではなく水の再凍結で形成 | Reuters http://t.co/MJKLRDf
  • 22:39  これのことかな? Gigantic Remelted Ice Mass Discovered Below Antarctic Ice Sheet – ScienceNOW http://t.co/E743L0g via @AddThis
  • 22:51  うすうすそうだろうと思っていたけど,極秘ミッションってやっぱりネーチャンのこれだったわけね. http://t.co/QYj48Kc
  • 22:57  ざっと見たところ氷底水流仮説で予測されていた底面再凍結のようなかんじ.うちの陣営にとっては好材料: http://t.co/MJKLRDf http://t.co/E743L0g

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施設公開初日

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学祭の部局イベントの施設公開の初日.久しぶりに晴れて,北海道らしいすがすがしい陽気.うちのブースはこんな感じ.それなりに盛況.


リラン

AGの論文,締め切りを延ばしてもらっていたのももう限界.手分けして仕上げにかかる.南極のも含めてあと2本ほど目論んでいたけれど,こんな感じじゃ到底無理だったな.他に待ってもらってるのもあるし...

昔配信したライブの録画動画をUSTREAMでリランさせるためのアップもはじめた.パソコンに向かう仕事のBGMがわりにもなっていて,講演を聴きながら昔を思い返したりしている.

じつは「水俣」はうちの部局発足のルーツでもあるのだけれど,6年前にこの講演を配信した時点ですら,その意義も当初の理念も失われつつあった.環境科学院となって,入学ガイダンスなどではその沿革を振り返ることもたまにあるけれど,6年たってもやっぱり状況は変わっていないような気がする.私にとってもこの6年間はまったくの空白の6年だったかもしれない.


異動通知

総長名で『大学院地球環境科学研究科における学生の指導を免ずる』という通知が来た.

【スワッ,くびか!】と思ったけれど,一緒に入っていた紙片には「地球環境科学研究科に籍のある学生がいなくなったため」と説明があった.そうなんです,うちは今は「環境科学院」なんです.

ということで,めでたくこの3月で最後の残党が修了(あるいは退学)されたということらしい.改組してからもう5年.環境科学院で純粋にM1から育った院生も,すでに博士として巣立ち始めている.


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