プロジェクトM 一覧

久しぶりにProject-M

48次は休日日課.しらせのしらせ氷河研修フライトに混じって不定期に持ち帰り便があり,輸送担当にはやりにくい一日.お昼過ぎに越冬最後の防災訓練.48次のギャラリーが見守る中,久しぶりの放水.

もう数日前になるが,三浦プロジェクトのことがプレス記事になった.48次同行記者の報告だろう.すでにみ・くりさんが紹介してくれた東京新聞のほかにYahoo Newsの写真記事にも出ている.岩崎提供となっているこの写真は,コアラーがぶら下がっていないのでプロジェクトの本質を伝えるにはイマイチだな,と思うけど,まあいいっか...


アイスオーガー

今日から1月下旬まで日は沈まない.

海底探査は終了したが,今回持ち込んだ機材の中で最も汎用性の高いモノはなんといっても海氷掘削ドリルであろう.海氷に大きな孔さえ開けられれば,海氷域の観測は一気に幅が広がる.大抵の観測機材を投入することができるし,ダイビングで人が潜ることも出来なくはない.

観測隊で用いているドリル(アイスオーガー)には何種類かある.以下,口径の小さいモノから紹介する.

imageルート工作などで海氷厚を測ったり旗竿を立てたりするために,径3cm程度の孔をあけるもの.動力は電動モーター.

imageもともと,氷コアを採取するためのバレル型ドリル.筒状になっていて,中に直径5cmのコアが収まる.コアの周りを削りながら掘っていくので,これで開けた孔は直径8cmほどになる.動力は電動モーター.エクステンションを最も長くつなぐことができ,大陸氷床上で深さ20mぐらいまで掘った実績もあるとか.最近では,採水のために海氷に7-9m深の孔を開けた.

image主に海洋生物観測に用いられるドリルで,直径20cmの孔ができ,トラップや小型採水器を投入できる.動力にエンジンを使うので,扱いが難しく,エクステンションも少ないのであまり深くまで掘れないが,人力で運搬・操作できるドリルの中では最大径.

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そしてこれが,今回用いた海氷掘削ドリル.一番左のはコアバレルドリル.まずこれで先進導孔を開け,次に真ん中の10cmドリルで孔をひろげ,最後に右側の歯で直径60cmの大きな孔に仕上げる.動力は電動モーターを用いるが,人力で支えることができないので,専用のそりに搭載したボーリングマシンで操作する.

どのドリルにしても,何度も孔をあけて海氷に切れ込みをつくって,大きな孔に仕上げることも可能だが,それなりに体力と時間を使う仕事になる.海氷が厚かったり,低温の固い氷だったりするともっと大変.

imageということで,今日は,我々の海氷掘削ドリルをつかって,ドリルの径よりも大きな孔を開ける試験を実施.とりあえず隣接した4つの孔を開けて,大きくできるか試してみた.みごとに半日で大きな孔にすることに成功.写真の手前にある氷の柱は,四つの孔の交点にできた切りしろ.

同様の作業を繰り返せばいくらでも孔を大きくできる.基本的にボーリングマシンの操作だけなので体力もいらない.これだけの孔を他のドリルで開けようとしたら数日かかるが,これならば一日もあれば相当大きな孔ができるだろう.

ボーリングマシンのほうは,一回の上下ストライクの長さやそりの取り回しなどに関して改良すべき点がいくつかあるけれども,今後,もし海底探査プロジェクトが継続できて,将来的に本格的な海底ボーリングが実現するようなことがあっても,この技術を使えば海氷の問題は克服できることを確信した.そのほかの分野の調査にも適用できる.できればこの操作技術を受け継いで,もっとJAREで活用してもらいたいところだが,リーダーは持ち帰るといって聞かない.


終了宣言

image昨日に引き続き,サイドスキャンソナーを使って海底を探査.宝物は発見できず.

予備としてJAMSTECから借りてきた水中ロボットの試作品をはじめて使ってみる.今まで使っていたROVに比べると小型軽量で扱いやすいが,操作性はまだまだ.耐久性やカメラの視認性にも問題がありそう.

夕食時に,リーダーの三浦氏から海底探査の終了宣言が出た.これまでほんとに多くの隊員に積極的に協力いただいてここまでやってくることができた.心よりお礼申し上げる.

残るは,機材の補足的な試験と頼まれ仕事.そして次の夏オペ.あっそういえば,大量に持ち込んだ様々な観測機材の持ち帰り準備もやらなきゃ.


最後のあがき

早朝,テレビ会議システムを使って昭和基地から学会発表しているという隊員の様子を見に行く.前の越冬仲間が私によろしく,と声をかけていったらしいけれど,誰だったのかは不明.

その後,海底探査の残務,というか,最後のあがき,というか.昭和基地の目の前の岩島付近でプロジェクト最後の仕事を開始.ねらい場所は過去の隊が残した宝物が沈んでいるところ.記録を頼りにGPSを駆使してねらいをつける.

今日の作業は海氷掘削とワイヤー通し.出先だったら2日の仕事.長距離通勤時代には3日以上かかっていた工程を一日のうちに余裕で完了した.仕事に慣れてきたせいもある.まあ,越冬なんてこんなもんだ.もう終わりって頃が一番手慣れてきて作業効率も良くなる.でもその頃にはもう帰国.

皇帝ペンギンのペアが仕事現場にひょっこり出現.夜中(といっても白夜で明るい)に食堂の窓から双眼鏡でみたら,まだこの付近にいた.どうやらこのペアは,前に基地までやってきて,そのままいついてしまったらしい.このままルッカリーを作ってくれると嬉しいのだけれど...

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掘削終了

今日はオングル海峡の海底堆積物の掘削.残念ながら私はVLBI観測のため参加できず.600mの深さからなんとか2m弱のコアを採取できた模様.

今回でプロジェクトの本格的な探査は終了.仕事を終えたそりたちが,昭和基地の前まで戻ってきた.お疲れ様.

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昨夜から引き続いてVLBI観測を実施.今回は事前準備のゴタゴタに続き,観測中にも設定変更があったりしてたいへん.

ピアノを弾いて待ち時間のヒマをつぶす.このピアノはJARE45で医療部門が持ち込んだ物で,隊員の精神衛生管理に必要と言うことで買ってもらったのだとか.でもなぜか衛星受信棟にある.徹夜のもうろうとした頭でも右脳は割と元気で,勝手に手が動く.しかし,思いつくのは童謡や唱歌ばかり.トロメライでも軽快に弾いてみたいものだが,素養のない私には難しい.

image受信が終わってデータを収録したHDDを梱包.今回からバンド幅を倍にしたのでデータ量も倍.一回の観測で100GBのHDDを8つ使う.VLBIデータHDD専用のジュラルミンのケースが用意されている.データはオリジナルのこれしかないので,厳重に保管して日本へ持ち帰ることになる.


DROMLAN

10月中旬以来,出入りはあったものの,ほぼ半月を過ごした雪鳥小屋を撤収して,お昼過ぎに昭和基地に帰投.ラングホブデ沖での掘削はまだ残っているので,機材だけ次の場所に移動させておく.

留守中にL/Sバンド衛星受信用のワークステーションが落ちたことを無線連絡で知らされていて,出先ではヒヤヒヤしたが,国内からの対応でなんとか復旧していたようで一安心.

7日からVLBI観測があるため,休む間もなく準備を始める.まずは先月末にできなかった水素メーザーのチェック.他にも溜まった仕事がいろいろ.海氷GPS用のバッテリーを受電し,メールや国内からの仕事を片付け,10月の月例報告を仕上げる.11月も忙しい.

夕食後にS17組が帰投.これで大陸方面の準備オペレーションも終了した.あとは夏隊と航空隊を待つのみ.実はS17は11カ国からなる国際共同事業「The Dronning Maud Land Air Network(DROMLAN):ドロンニングモードランド航空網計画」の中で航空拠点の一つとして位置づけられつつある.ドーム隊はすでにその機構を利用して航空機で現地入りしているわけだが,JARE47と48は特に,S17が拠点としてうまく使えるかどうかのテストケースになる様相である.

今次でのS17組の仕事ぶりをみていると,どうも本職以外の使いっ走りをさせられているような感じがしてかわいそうな気がする.それも非常にきつい仕事を...JAREは越冬航空機の所有をなくしてしまったけれど,S17組の様子を傍目で見ている限りでは,今後はこれまでの航空担当隊員に代わってDROMLAN対応を専門とする「航空拠点担当隊員」を設けたほうがよいように思ってしまう.もしそうなれば,語学と社交性と航空事情に詳しい人が必要だと思うが,なかなか難しい役割になることは間違いない.


望み薄

image気温が高く日差しも強いが,風が冷たくて寒く感じる.それでも海氷は確実に柔らかくなっているし,表面に汚れのあるところは融け始めている.

イットレホブデホルメン西方で掘削を実施.採取できたのは1mにもみたず.コアラーのヘッドがボロボロになった.

小屋泊まりでの探査計画はここまで.機材を撤収して最後の小屋の夜を過ごす.もう一年越冬したい気分.


完全に壊れた

イットレホブデホルメン西方で音響探査を実施.サイドスキャンソナーまではよかったが,サブボトムプロファイラーがまたまた不調.信号線以外のどこかが逝ってしまった模様.

これ以上の音響探査をあきらめて,掘削準備へ移行.


イットレホブデホルメン西側

imageイットレホブデホルメン西側にて海氷掘削及び探査用ウインチの設置.

この近くにはアザラシの親子が数組いる.


それらしきもの

ほぼ10日間にわたる格闘の末,ようやくコアが採れた.2m足らずの短いものだが,最深部にはTillとの境界らしきものが含まれていた.帰国後の分析結果が楽しみ.

image機材を撤収して,次の探査場所へ移動させる.次のターゲットはここよりも5kmほど沖合の,イットレホブデホルメン島という,なんだが舌をかみそうになる名前の島の近く.ペンギンのルッカリーがあるので,センサス調査用のルートが延びている場所.

そういえば,ラングホブデに再出発する前に,今次隊でのルート工作が終了していた.最後にできたのはペンギンセンサス用のルートで,西オングル島を回り込んで,ラングホブデルートと並行して南方へ延びている.このルートの南の終点付近が今度の探査場所になる.


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